先週インドネシアに行ってきました。
工学系高等教育へのJICA技術プロジェクトに関する業務だったのですが、インドネシア、工学分野(ICT分野)、高等教育、業務内容、あらゆる点で私にとっては新しい経験であり、勉強になることが多い機会となりました。
特に今回、改めて考えさせられたのが、基礎教育に対する教育協力の意義についてです。
これまで私は、途上国の基礎教育に注目してきました。
Education for AllやMDGsといった国際社会の背景もあり、ここ最近、基礎教育に対する教育協力について、どこかでそれは「当り前」のことで、あまり反省的に考え直していなかった自分がいたように思います。
しかし、今回の高等教育の仕事では、「なぜ基礎教育なのか?」ということを、改めて考えさせられる機会となりました。
今回のプロジェクトでは、高等教育の研究・教育能力が向上することで、高度な人材育成が実現でき、産業界への人材提供や研究開発を通して、国の経済発展へ貢献するという展望が、日本側、相手国側ともに、強く意識されていると感じました。
特に、国の経済発展という目標は、インドネシアはもちろん、多くの途上国でも望まれているものであり、そこにつながる教育協力という意味では、協力する側、される側、ともにその意義を見いだせる取り組みに感じました。
一方、基礎教育に対する教育協力は、確かに国際社会の流れを背景に、これまで重視されてきたところがありますが、2015年を過ぎたとき、どれだけの途上国が基礎教育に力を入れていくのかと、考えるところがあります。
例えば、ザンビアでは、長期国家計画「Vision 2030」のなかで、2030 年までに中所得の産業国家になることが長期目標として掲げられているのですが、そうした国の意図を考慮した場合、今後の教育協力として、基礎教育よりも中等教育や高等教育に焦点を置いた方が、より「効果的」、「効率的」に「成果」が産出できると考える風潮が出てくるかもしれません。
もちろん、何をもって「成果」というのか、「効果的」「効率的」であると何をもって評価するのかは検討する必要はあるでしょう。
しかし、そうした風潮の中で、基礎教育に対する教育協力の意義をどのように捉え、どのように主張するのかを、もっと意識的に考える必要があると反省させられた、今回のインドネシア渡航となりました。
木根 主税
2008年6月8日日曜日
基礎教育への教育協力とは?
時刻: 日曜日, 6月 08, 2008
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