私は手に花をもって教室に入ります。
「この花をばらばらにしてみましょうか。花、茎、葉、となりますね」(生徒はだいたい「うわあ、先生残酷う」などと茶化します)
「もっと分けられるかな?」・・・
こんな調子で素数の導入がはじまります。数を掛け算でばらばらにすると最終的に素数になる、つまり物質でいえば原子のようなものだと説明します。
実はこのあと素因数分解という操作にはいるため、「2、3、5、7、11、13、1719、くらいは覚えなさい」という“しょぼい”授業展開になっていました。今日はこんな自分の授業を反省させられるNHKの番組をみました。
みなさんは「リーマン予想」というのをご存じでしょうか。私などは名前くらいで知識ゼロでした。しかしこの知識ゼロ状態がよかったのか、かなりのインパクトを受けた次第です。教師の信念(belief)に影響を与える知識(knowledge)はこういうことをいうのではないか、と思うほどでした。
一見無秩序にあらわれる素数にどのような意味が隠されているのか、リーマンは「ゼータ関数の非自明なゼロ点はすべて一直線上にあるはずだ」という予想をたてます。以後150年まだだれも証明していません。番組ではこの難問に取り組んだ数学者を紹介。映画「ビューティフルマインド」の主人公もとりあげていました。
リーマン以前にも、素数と宇宙のつながりを直観的に感じているオイラーがいました。いい加減に現れる素数と円周率とが関係があるという発見に驚かされましたが、それ以上に驚いたのはゼロ点の並び方が原子核のエネルギーがおこる間隔と同じ式であらわされていることが、数学者と物理学者との偶然の会話の中で発見されたということです。つまり素数を解き明かすことが確実にミクロな世界を解き明かすことになるというのです。
「素数様!」と呼びたくなるくらいの感動がわき起こりました。と同時にこういう感動を伝えられない自分の授業の稚拙さ、生徒たちへの申し訳なさを感じた次第です。
2011年10月17日月曜日
素数様!
ラベル: Daily story, 新井美津江
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿