現在、調査のために南アフリカのケープタウンに滞在中。
2月13日、午前10時50分に関西国際空港を出発し、香港、ヨハネスバーグで乗り継ぎ、約30時間かけて、2月14日の午前11時、ようやくケープタウンに到着。その日の天気は雨。肌寒さと、疲れで少し頭痛を感じながら、現在宿泊しているホテルに向かった。 その到着初日の、ホテルのチェックインでのこと。
木根:「チェックインお願いします。」
受付:「どこから来たのですか?」
木根:「日本からです。」
受付:「遠かったでしょう。どれくらいかかりましたか?」
木根:「空港待ちの時間も入れて、30時間くらいですかね。」
受付:「それは大変でしたね。では、お名前を教えてください。」
木根:「木根(キノネ)です。」
受付:「あっ!」
木根:「?」
受付:「あなたがキノネ?」
木根:「はい。」
受付:「チカラ キノネ?」
木根:「はい。」
受付:「いやぁ、あなたが!」
木根:「???」
受付:「イイィッヒッヒッヒッヒィ…」
木根:「どうしました?」
受付:「いやね、日本人の名前や言葉は面白いですよね。」
木根:「???。」
受付:「私はジンバブエ出身なんですが、『タナカ』や『モト』という言葉は、別の意味で私たちも使っているんですよ。」
木根:「はぁ?」
受付:「例えば、タナカは『We are fine!』でしょ。で、モトは『Fire』。」
木根:「???」
受付:「で、『チカラ』もね…。」
木根:「!!!」
受付:「実は特別な意味があって…。」
木根:「…」
受付:「いやぁ、イイィッヒッヒッヒッヒィ…」
木根:「どんな意味ですか?」
受付:「いやぁ、それがね…」
木根:「???」
受付:「イイィッヒッヒッヒッヒィ…」
木根:「???」
受付:「『Dangerous Wild Animal』!イイィッヒッヒッヒッヒィ…」
木根:「???」
受付:「ただのWild Animalじゃないんですよ!Dangerous!イイィッヒッヒッヒッヒィ…」
木根:「???」
受付:「人を襲ったり傷つけたりするような…。例えばライオンとかトラとか、イイィッヒッヒッヒッヒィ…」
木根:「…」
受付:「いやぁ、日本人の名前は面白いですね。イイィッヒッヒッヒッヒィ…」
木根:「…」
青年海外協力隊としてザンビアに2年間滞在していたときも、自分の名前で苦労した。そのときはもっとひどく、私の名前「チカラ(主税)」は、ザンビアの現地語では「男性の一物」という意味であった。
ま、それもある意味「Dangerous Wild Animal」かもしれず、かつて「ローデシア」というひとつの国でもあったジンバブエとザンビア。互いの言葉にも通じるものがあるのかもしれない。 ちなみに、この受付の方にザンビアでの苦労話をしたところ、彼の奥さんが、なんとザンビア人だという!
「イイィッヒッヒッヒッヒィ…」
と笑いながら、彼は私のことを奥さんに話してみると言っていた。 日本では、「主税(チカラ)」という名前は、忠臣蔵の大石内蔵助の息子の名前として知られており、私の将来を想ってこの名前をつけてくれた両親は、まさかアフリカの地にて、自分の息子が、その名前で笑い物にされるとは想像もつかなかったことであろう。
「所変われば品変わる」。
日本語の意味もアフリカでは変わってしまう。日本の常識が通じない、一種のカルチャーショックなどと言えば、少々大げさになるであろうか。 来週は、ここケープタウンを離れ、2年ぶりにザンビアを訪問する。今回も、きっとフルネームでは名乗れないであろう。少々寂しい気もするが…。
蛇足だが、私は、生まれも育ちも九州の「クマモト(熊本)」。これまたスワヒリ語圏では特別な意味を持つ言葉。ケニアを訪問した時に、ナイロビで現地の人から「クマモト」と呼ばれてうれしく感じ、傍らにいたケニア在住の友人から「あんたバカにされてるよ!」と叱られたことを思い出す。
恐るべしアフリカ。次は何が待っていることやら…。
木根 主税
2008年2月18日月曜日
名前とアフリカ
時刻: 月曜日, 2月 18, 2008
ラベル: Generalなお話, ZAMBIAについて, 木根 主税
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