先日,愛媛大学で行われた全国数学教育学会に参加しました。自分の発表を通して得るものもありましたが,様々な方の研究発表を聞くことで,多くのことを考えるきっかけとなりました。中でも研究者と現職教師が共同で発表したセッションは,非常に興味深いものでした。教育における「理論」と「実践」の議論は,自分としても常に意識している点だったからです。
「理論」を現場の教師が深く理解すること,「実践」を教育研究者が真摯に受け止めること,その両者の歩み寄りが「理論」と「実践」の乖離を埋める一手立てになると考えます。しかし,理論と実践を結合させることが最終目的ではないはずです。発表の中で疑問に感じたことは,「如何にして教師が理論を用いるか」「如何にして理論を実践に生かせるか」ということに捉われすぎていた点でした。
他方で自分の関心は,教室内で生起した事象を如何にして理論化できるかという点にあります。ただし,大学でも現場の実践を理論化する研究が進められていますが,現場での実践を集約し、別の視点から捉え直して一般化しただけの理論に終始している研究が多いことも否めません。これでは,現場の教師に見向きもされないのは当然であろうと思います。ここで、教育研究の意義とは何か?ということを考えさせられます。
自分の今の見解は,研究は理論化することによってその役目を終えるのではなく,現場に対して新たな提案をしていく必要性が少なからずあるだろうという点です。そういった意味で,教師が創造的な授業実践を日々行っている現実を考えると,教育研究者にはそれを超える,より高度な創造力・思考力が求められているのだろうと言えます。教師の能力についてはよく議論されますが,今後は研究者の能力についても問われていくのではないかと思います。
松山と言えば道後温泉。歴史ある温泉に浸かりながら,理論と実践についてほんの少しだけ考えてみました。
2011年2月3日木曜日
全国数学教育学会
時刻: 木曜日, 2月 03, 2011
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