今回のバングラデシュ出張中に、ダッカ大学にて公開講義を行いました。
以下簡単に報告します。
ダッカ大学教育研究所(IER)公開講義
日時:11月29日(木)13:00-14:00
参加者:IER所長(ムッタキ教授)、教員、4年生学部生、院生、長岡JICA専門家、馬場合計70名程度
テーマ:
Globalization and Quality Improvement of Primary Mathematics
発表:
世界的傾向としてFacilitatorとしての教師の役割が求められているという話の後、バングラデシュにおける授業の特徴、プロジェクトの活動を説明、その後日本の授業研究の取り組み、そして授業を見せ、最後に両者の対比からバングラデシュの抱える課題として次の三つの点を強調した。
・Thinking & Conceptual Understanding
・Visualization and Quantification
・Discussion based on research
特に若い世代の参加者が多かったので、彼らの課題意識に語りかけるよう配慮した。全般的に非常に熱心に聴き、メモを取っていた。
質疑:
3つの質問があった。
・2部制の学校他、バングラデシュの教育条件は日本のそれとかなり異なるのではないか?
・発表の中で「教科書を教えることを越えて」という表現があったが、それはどのようにすればよいのか?
・バングラデシュの学校では機材が不足しているが、質的改善に取り組むにはどのようにすればよいのか?
(回答)
時間が無いこともあり、三つまとめて回答した。
質問の中にあった日本と諸々の条件が異なるというのはその通りであると思う。ただし、このような発表をザンビアや中国でも行い、類似の質問があったが、「何々が無いから何々できない」という表現は不適切だと思う。たとえば本発表の中でも指摘したが、質問を変えてやることで、授業は変わるし、そのためには機材と言うよりも、教師の意識を変える必要がある。皆さん若い世代の方々が、ぜひ積極的に取り組みバングラデシュの明日を担って行ってほしい。
ムッタキ所長からはこの点について、補足として、問題を自分の問題
として捉えることの重要性を指摘してもらった。
補足:
大学生は全体的に少し日本の学生に比べて年が上のように思えた。出来るだけ一般的な表現を用いた発表をしたが、それでも分からなかった学生もいたようである。限られた時間の中での発表であったために、少し早めに話をせざる得なかった。
所長はぜひ次回はもう少し時間を取って、初等教育の学生をターゲットに話をということであった。
また、所長より中等教育のTQIプロジェクト課長補佐(Zaki Imam氏)に紹介された。今後、中等教育の改善について話し合いの機会を持つこととなった。
所感:
今回の話は、モホシン講師が広島大学・馬場研究室で博士号を取り帰国、ロキア教授が広島大学客員教授を終えて帰国というタイミングに合ったもので、終始非常に和やかな雰囲気の中で行われた。講義後のロキア教授宅での晩餐会を含めて、シニア、ジュニアなスタッフとの交流が出来た。
このような高等教育機関との人的つながりを大事にする必要性を改めて痛感した。今後、IERの若手教員を広島大学に院生として呼ぶ場合も、このような効果が大いに期待される。
専門性に関する議論では、このような長期的視点に立って取り組む必要があるが、そのような議論をする基盤が徐々に整いつつあることを感じた。
※当講義資料は馬場研HPで御覧になれます
http://home.hiroshima-u.ac.jp/babasemi/ → 教員の部屋 → 活動報告
馬場 卓也
2007年12月15日土曜日
ダッカ大学講義
ラベル: BANGLADESHについて, Studyについて, 馬場 卓也
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